アニマルウェルフェアの定義と基本原則「5つの自由」
アニマルウェルフェアとは、「動物の生活とその死に関わる環境と関連する動物の身体的・心的状態」と定義されています。これは日本も加盟している世界の動物衛生の向上を目的とする国際機関である「国際獣疫事務局(OIE)」において採択されたものです。また、アニマルウェルフェアに取り組む基本原則として「5つの自由」という指針があります。
- 飢え、渇き及び栄養不良からの自由
- 恐怖及び苦悩からの自由
- 物理的、熱の不快さからの自由
- 苦痛、傷害及び疾病からの自由
- 通常の行動様式を発現する自由
この「5つの自由」に基づき、動物として本来備えている感受性や習性による行動を尊重し、動物たちが快適で幸福に生きられるよう取り扱うことが、全ての動物を扱う人たちに求められています。
家畜の飼育におけるアニマルウェルフェア
農林水産省では、アニマルウェルフェアの考え方に対応した家畜の飼養管理について2002年に指針を提示し、畜産農家に対してアニマルウェルフェアの考え方を推進しています。家畜の飼養管理における「5つの自由」への対応は、下記のように提示されています。
飢え、渇き及び栄養不良からの自由
- 家畜の発育段階等にあわせた、量と質のバランスが適切な餌を与える。
- 家畜の生理的要求を満たす十分な飲用水を与える。
- 家畜の健康に悪影響を与える汚染や劣化を最小限に抑える。
恐怖及び苦悩からの自由
- 騒音が発生する、手荒に扱うことで家畜に恐怖や苦悩を与えない。
- 家畜の習性を活かして家畜の移動を促す。
物理的、熱の不快さからの自由
- 家畜の品種や発育段階等にあわせた、快適な温度域を維持する。
- 適切に換気を行い、アンモニアや二酸化炭素など有害物質の滞留を防ぐ。
苦痛、傷害及び疾病からの自由
- 痛みを伴う処置は、苦痛の少ない方法を検討して行う。
- 家畜にケガや不要な痛みを与える道具の使用は避ける。
通常の行動様式を発現する自由
- 家畜の習性に合わせた適切な群れの構成、密度で育てる。
- 家畜が自由に運動でき、また休息できる十分なスペースがある。
- 家畜の習性に合わせた適切な光環境のもとで育てる。